データベースの理解から
会社の会計システムから、必要な情報を入力すれば欲しいレポートが何でも出力されるのなら、面倒くさい知識も要らないと思います。只、実際にはシステムがいくら万能でも、初期設定や仕様を変更する際には、IT担当やシステム会社のエンジニアに全てを任せるのではなく、財務会計責任者が自身の意見を主張しなければ、最適なシステムが組めない場面が出て来ると思います。システム購入時にどのモジュールを入れるか、自社仕様にカスタマイズするか、出力する帳票をどうするかなどで、見積価格は大きく変わるし、導入後の業務の幅にも影響を及ぼす事になります。
日頃から、財務会計担当者はデータベースの概念を意識して、データを集計しレポートを作成する事は大切な事で、身近なエクセルの作業を通して、その基礎を学んでいく事が有効になります。エクセルの表にベタ打ちで資料を作成するのではなく、データベースをどのように利用したら業務がスマートに回せるかを理解し、又、それに伴うエクセル周りの新しい機能を知る事で、業務効率は改善されて行きます。
代表的なデータベースの種類であるリレーショナルデータベースは、Excelのような表の形式でデータを管理するタイプです。エクセルでいうシートを「テーブル」といい、列を「フォールド」、行を「レコード」と呼びます。フィールドには項目が入り、レコードには項目ごとに該当するデータが入ります。
データベースに格納されているデータを操作するには、コンピュータ上でデータベースを管理するシステム(DBMS:Database Management System)が必要で、そのDBMS上では、SQL等のデータベースと対話する言語により、データの追加や削除、並べ替えなど様々な命令を行っていきます。
データベース管理システム(DBMS)の代表的な製品としては、"Oracle Database" や"SQL Server"、更にオープンソースでは"MySQL", "PostgreSQL", "SQLite"などがあります。最近では、AWS(Amazon Web Services)やGoogle Cloudなどでは、独自のデータベースを開発し提供しています。
財務スタッフに身近な処で、Microsoft社のAccessは、サーバ等に接続せずとも単体でデータベースとして動作するアプリケーションです。データ操作にSQLを書く必要がなく、ヴィジュアルで操作できるという特徴を持ちます。エクセルのテーブルで対応できない場合の選択肢になります。
【エクセル データベースの作成】
エクセルは表計算ソフトですが、簡易的なデータベース機能が備わっており、作成した表をデータベースとして扱えます。データベースの作成する手順は、以下の通りです。
・作成する目的を明確にし、データベース化する項目を定める
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・案件管理データを表形式に配置し、書式(3桁区切りや小数点、日付型)、入力形式(揺らぎ防止のプルダウン化など)を設定する
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・テーブル機能を使ってエクセルデータベースを完成させる
そして、以下の点に注意して、データベースを作成します。
・主キーの設定; 各テーブルに必ず一つ存在。データを識別するために設定する。
・正規化のルール;正規化とはテーブルを分解して冗長性をなくしていく事
・先頭行は項目名(タイトル行)にする事
・データは必ず1行1件にする事
エクセルのデータベースでは、テーブルの書式に設定する事が有用であり、以下の機能が利用できます。
1、フィルターやスライサーによるデータ抽出
2、ピポットテーブルによる集計
3、グラフ描画
4、入力用の画面をフォームで作成
一般的なデータベース管理システム(DBMS)において、例えばSQLのデータ操作言語でデータを検索・追加・更新・削除する命令文を使いますが、一方で、エクセルのテーブル機能やデータべース関数は、そこまでの操作性はありません。従って、エクセルのテーブルを活かすには、ピポットテーブルによる集計が有効になりますので、ピポットテーブルを使いこなせる事が必須になります。