予算スラック

日本の大概の会社では、新しい会計年度が始まる前に、売上や経費の予算を作成して、P/Lで基本計画予算を組むと思います。トップマネジメント(経営層)が会社の業績目標等の方向性を表明し、それに基づき営業部や製造部などの各部門が、会社目標の達成を目指し、部門予算を作成する事になります。それと同時に、設備購入や人員計画が作成され、売上計画達成に伴う諸々の条件が確認されます。そして、各部門の予算は全社で集計した後に、調整を加え、全社の総合予算が作成されます。

このような予算作成プロセスでは、経営層の方針を組みつつ各部門の意思が反映され、言わばトップダウンとボトムアップの折衷型になります。予算作成の目的は、部門毎に責任を負わせる事なので、その目標達成がミッションとなります。トップマネジメントはこれを基に各人の業績評価を行います。


ここに予算スラックの論点が生じてきます。各部門はなるべく達成しやすいようにと予算目標を提示するようになり、意図的に収益や製造能力を低く設定したり、必要とされるコストや資源を過大に見積もることで、「予算の水増し」が図られる事になります。この予算に織り込まれる余裕部分が、「予算スラック」の正体です。

報告を受ける経営層の方でも、この余裕部分の存在に気付いていると思いますが、これをコントロールする事は非常に難しい事です。予算の構成内容を再検討し、余裕を見込んだ弱気な見通しを経営層が目指す真の目標に近付けていくという予算折衝が、ここから行われていきます。


一方で、この厄介な「予算スラック」が発生するくらいなら、予算管理の手法自体を抜本的に換えてしまおうという発想もあります。

①トップダウンで予算を作成する

②年度予算という既定枠にはめず、四半期ローリング予測を立てる

③財務数値だけではなく、バランススコアカードで評価する

代表的な処では、上記の3つの手段が提唱されていますが、①のトップダウンは日本企業に馴染まない手法であるように思えますし、②四半期ローリングや③バランススコアカードを積極的に導入している日本企業も少数派ではないでしょか。


いずれにしても、この「予算スラック」は、一筋縄ではいかないテーマです💦

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